【乙咩神社】（大分県宇佐市）: ～風の宿り～ブログ

2011年11月19日

【乙咩神社】（大分県宇佐市）

大分県宇佐市下乙女に鎮座する【乙咩神社】（おとめじんじゃ）

≪御祭神≫
　・仲哀天皇（ちゅうあいてんのう）
　・神功皇后（じんぐうこうごう）
　・應神天皇（おうじんてんおう）
　・比賣大神（三女神）
　　┗多紀理毘賣命（たきりびめのみこと）　
　　┗市寸島比賣命（いちきしまひめのみこと）
　　┗多岐都比賣命（たきつひめのみこと）
　・仁徳天皇（にんとくてんのう）
　・日本武尊（やまとたけるのみこと）
　・天兒屋根命（あめのこやねのみこと）
　・別雷命（わけいかづちのみこと）

宇佐神宮の境外摂社を『八箇社』（田笛社、鷹居瀬社【鷹居社・郡瀬社】、大根川社、酒井泉社、乙咩社、妻垣社、小山田社）と呼び、その一社。
また、宇佐神宮行幸八ヶ社（同上）のひとつでもあり、6年に一度、神輿が巡幸していました。

元明天皇和銅3年（710年）、現位置である古墳上に宮柱を鎮め、神籬を設けて仲哀天皇、神功皇后、應神天皇の御三柱の御神霊を奉祀したのがはじまりだといいます。
また、年代は定かではありませんが、比賣大神外御四柱の御神霊はその後に合わせまつられたそうです。
古くは「乙比咩社」「乙咩八幡宮」「乙咩社」などと称されていましたが、明治4年に「乙咩神社」と号するようになりました。

また、八幡大神が御遊化（御霊幸）の昔、豐前國宇佐郡の菱形山【大尾山（また御許山）、小倉山、宮山の総称】の北方の荒潮の海の浜辺（乙咩濱）に移られたとき、辛嶋乙目が、八幡大神のおそばにやってきて、敬意を表し跪いて御命を待つと、八幡大神は「洗浴をする」と仰せになったので、辛嶋乙目は海の浜辺に泉水を掘り出し、洗浴の奉仕をされたといいます。その泉水のことを『乙咩水』といい、今も神社の南側に八幡大神の御霊幸の跡として残っています。
「乙女」という地名と神社も、この「乙咩水」に由来するそうです。

次乙咩同郡同時神託
自利其至流乙咩濱云々
豐前國宇佐郡菱形山北方荒潮邊移坐尓時辛嶋乙目參向大御神之許畏跪而俟其御
命之時大御神宣
洗浴世牟者
爰乙目請御命潮邊掘出泉水奉令洗浴即號乙咩水矣
古老傳云乙目奉蕎麦掻餠今御行幸会之時奉備○○之是也
～次、乙咩。同じ郡。同じ時の神託
其（それ）自（よ）り乙咩濱（をとめのはま）に至（いた）る。云々
豐前國宇佐郡の菱形山の北方（きたのへ）の荒潮（あらしほ）の邊（ほとり）に移（うつ）り坐（ましま）す。尓（しか）る時（とき）に、辛嶋乙目（からしまのをとめ）、大御神（おほみかみ）の許（もと）に參（まゐ）向（むか）ひ、畏（かしこ）み跪（ひざまづ）きて俟（ま）つ。其（そ）の御命（みことの）る時に、大御神の宣（のら）ししく。
「洗浴（みづあみ）せむ」と。
爰（ここ）に乙目（をとめ）、御命（みこと）を請（う）け、潮邊（しほのへ）に泉水（いづみ）を掘（ほ）り出（いだ）し、洗浴せしめ奉（まつ）る。即（すなは）ち乙咩水と號（い）ふなり。
古老、傳（つた）へ云（い）ふ。
乙目、蕎麦掻餠（そばがきもち）を奉（たてまつ）る。今、御行幸会（ぎょうこうゑ）の時、○○（ほうとう）を備（そな）へ奉（まつ）るは是（こ）れなり。～
（『八幡宇佐宮御託宣集』日本國御遊化部より）
○○⇒［麥專］［麥王］（それぞれ２文字で１文字）

鳥居